こころの症状について

統合失調症

統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。

そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。

統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。

陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。

陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。

周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなどのサインとして表れます。早く治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、周囲が様子に気づいたときは早めに相談してみましょう。

うつ病

一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。

また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になります。うつ病かなと思ったら、自己判断をせずに、総合病院の精神科や心療内科、精神科のクリニックなどに相談しましょう。

内科などのかかりつけの医師に相談したり、保健所や精神保健福祉センターの相談窓口を利用することもできます。

うつ病を克服するためには、早めに専門家に相談し、しっかりと休養をとることが大切です。

双極性障害

うつ病だと思いながらも、極端に調子がよくなって活発になる時期がある場合は、双極性障害(躁うつ病)かもしれません。

双極性障害では、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返します。

躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。

躁状態ではとても気分がよいので、本人には病気の自覚がありません。そのため、うつ状態では病院に行くのですが、躁状態のときには治療を受けないことがよくあります。

しかし、うつ病だけの治療では双極性障害を悪化させてしまうことがあります。本人だけでなく、周囲の人も、日頃の様子や気分の波を見守り、躁状態に気づくことが大切です。

認知症

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。

次いで多い血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によっておきる認知症です。

初期は、加齢による単なる物忘れに見えることが多いでしょう。しかし、仕事や家事など普段やってきたことでミスが増える、お金の勘定ができなくなる、慣れた道で迷う、話が通じなくなる、憂うつな気分になる・不安になる、気力がなくなる、現実には見えないものが見える、妄想があるなどのサインが出てきたときには、相談してください。

ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)

発達障害の一つで、正式には自閉スペクトラム症と言われています。大きく「社会的コミュニケーションの苦手さ」「興味の偏りやこだわりの強さ」の二つの特性があるとされており、具体的には、視線が合わない、曖昧な指示や言外の意味を理解できない、状況が読めず場にそぐわない発言をしてしまう、急な予定変更についていけず臨機応変な対応ができない、興味のあることを一方的に話し続けるなどの特徴が挙げられます。こうした特性によって、生活に支障が生じている場合にASDと診断されます。

 生まれつき脳の偏りによって生じる障害であり、上記のような特性をなくすことはできません。しかし、環境調整や自分に合った対応方法を身に着けることで、社会生活を送ることは十分に可能です。また、ASDの特性は時に強みにもなりえますので、特性を生かすという視点も、治療にはとても大切になってきます。

ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)

発達障害の一つで、正式には注意欠如・多動症と言われています。「不注意」「多動性・衝動性」が主な特性として挙げられますが、どの特性が強く出ているかは人によって異なります。不注意症状の例としては、忘れ物が多い、整理整頓が苦手、遅刻が多い、ケアレスミスが多いことなどが挙げられます。また、多動性・衝動性の症状では、落ち着きがなく手足をソワソワと動かしている、思い付きで話すことや失言が多い、相手の話を遮って話し続ける、仕事を過剰に引き受けたり予定を詰め込みすぎるなどがあります。

 こうした症状のため、周囲からは「なまけてる」「いいかげん」と言われることもありますが、ADHDは生まれつき脳の偏りによって生じる障害であり、本人のやる気の問題ではありません。しかし、人間関係のトラブルや仕事上のミスから、自己否定的になりやすく、不安障害やうつ病などの二次障害に至る場合も多くあります。治療方法としては、薬物療法をはじめ、他の発達障害同様、環境調整や自分の特性にあった対策を身に着けることがとても大切になってきます。

適応障害

日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態をいう。

日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、心身に様々な症状が現れて社会生活に支障をきたす状態をいいます。ストレスの原因が明確であることが定義上重要となります。

症状はゆううつな気分、不安感、頭痛、不眠など、人によって様々ですが、仕事や学業などを続けたり、対人関係や社会生活を続けることに問題のある状態となります。これらは一般的には正常な人にも現れる症状ですが、適応障害の場合はそれを超えた過敏な状態となります。

治療にはまず原因となっているストレスを軽減し、心理的に回復させることが必要です。また、場合によっては薬物療法が必要なこともあります。

強迫性障害

強迫性障害では、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れず、わかっていながら何度も同じ確認などを繰り返すなど、日常生活にも影響が出てきます。意志に反して頭に浮かんでしまって払いのけられない考えを強迫観念、ある行為をしないでいられないことを強迫行為といいます。たとえば、不潔に思い過剰に手を洗う、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないなどがあります。

こころの病気であることに気づかない人も多いのですが、治療によって改善する病気です。「せずにはいられない」「考えずにはいられない」ことで、つらくなっていたり不便を感じたりするときには、専門機関に相談してみましょう。

不安障害

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。

このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。とくに、電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあります。

パニック障害では薬による治療とあわせて、少しずつ苦手なことに慣れていく心理療法が行われます。無理をせず、自分のペースで取り組むことが大切です。周囲もゆっくりと見守りましょう。

摂食障害

食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型のとらえ方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気をまとめて摂食障害と呼びます。

摂食障害では、必要な量の食事を食べられない、自分ではコントロールできずに食べ過ぎる、いったん飲み込んだ食べ物を意図的に吐いてしまうなど、患者さんによってさまざまな症状があります。

症状の内容によって、摂食障害は細かく分類されます。代表的な病気に神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害があります。

摂食障害は10代から20代の若者がかかることが多く、女性の割合が高いのですが、年令、性別、社会的、文化的背景を問わず誰でもかかりうる病気です。

日本で医療機関を受診している摂食障害患者は1年間に21万人とされています。さらに治療を受けたことがない方や、治療を中断している方が多数いることがわかっています。

摂食障害にかかると、心身の成長・発達と健康、人との関係、日常生活や、学業、職業などの社会生活に深刻な影響をあたえます。やせや栄養障害、嘔吐などの症状によって、身体の合併症を来し、時には生命の危険がある場合もあります。また、別の精神疾患をともなうこともあります。

摂食障害の影響が大きく、長くならないうちに、摂食障害のサインや症状に気づいたら、できるだけ早く専門家に相談して治療を受けることが大切です。

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